はじめに
前回の記事ではCSSの clip-path を使った斜めのセクション区切りや波形デザインの実装方法と、VSCodeのフォーマッターでコードを整える方法を解説しました。今回は少し視点を変えて、Chrome拡張機能を使ってWeb制作の作業効率を上げる方法を解説します。クライアントへのデザイン確認に使えるスクリーンショット→PDF変換ツール「素晴らしい画面の並べ替えとスクリーンショット」と、AIがコーディングをサポートしてくれる「Sider」の2つを中心に、それぞれの使い方と実際のWeb制作での活用場面を紹介します。
1. Chrome拡張機能を活用するメリット
1.1 Web制作で役立つChrome拡張機能の種類
第二十一弾でも「Image Downloader – Imageye」を紹介しましたが、Chrome拡張機能はWeb制作のさまざまな場面で作業を効率化してくれます。
| カテゴリ | 用途 |
|---|---|
| スクリーンショット・PDF化 | クライアントへのデザイン確認資料作成 |
| AIアシスタント | コーディング支援・疑問解消・文章生成 |
| カラーピッカー | 気になるサイトの色コードを取得 |
| レスポンシブ確認 | 様々な画面サイズでの表示チェック |
| ページ分析 | SEO・パフォーマンスの確認 |
1.2 拡張機能のインストール方法
- Chromeブラウザの右上にある「⋮」→「その他のツール」→「拡張機能」を開きます。
- または Chrome ウェブストア(chromewebstore.google.com)で名前を検索します。
- 「Chromeに追加」をクリックしてインストールします。
2. 素晴らしい画面の並べ替えとスクリーンショット
2.1 この拡張機能でできること
**「素晴らしい画面の並べ替えとスクリーンショット」**はページ全体を一枚の画像またはPDFとして保存できるChrome拡張機能です。スクロールしないと見えない部分も含めてページ全体をキャプチャしてくれるのが最大の特徴です。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| ページ全体のキャプチャ | スクロールしても見えない部分まで一枚に収める |
| 選択範囲のキャプチャ | 任意の範囲をドラッグして切り取る |
| 表示部分のキャプチャ | 現在見えている画面だけを保存する |
| PDF出力 | ページ全体を1つのPDFファイルに変換する |
| 遅延キャプチャ | 数秒後に撮影する(アニメーションが止まった状態を撮影したい場合など) |
2.2 インストールと基本操作
- Chrome ウェブストアで「素晴らしい画面の並べ替えとスクリーンショット」を検索します。
- 「Chromeに追加」をクリックしてインストールします。
- ブラウザのツールバーにアイコンが追加されます。
基本的なキャプチャ手順:
1. キャプチャしたいページを開く
2. ツールバーのアイコンをクリック
3. キャプチャの種類を選択:
・「ページ全体をキャプチャ」← 最もよく使う
・「選択範囲をキャプチャ」
・「表示部分をキャプチャ」
4. キャプチャが自動的に実行される
5. 編集画面でトリミング・注釈を追加できる
6. 「保存」でPNGまたはPDFとして書き出す
2.3 クライアントへのデザイン確認資料の作り方
Web制作でクライアントにデザインを確認してもらう際に、URLを共有するだけでは伝わりにくい場合があります。ページ全体を1枚のPDFにしてメールで送ることで、クライアントが自分のペースで確認しやすくなります。
PDF作成の手順:
- 確認してもらいたいページをブラウザで開きます。
- 拡張機能のアイコンをクリックして「ページ全体をキャプチャ」を選択します。
- キャプチャが完了したら編集画面が開きます。
- 必要に応じて矢印・テキスト注釈を追加します。
- 右上の「ダウンロード」→「PDF」を選択します。
- PDFファイルをメールに添付してクライアントに送ります。
💡 PC版とスマートフォン版の両方を1つのPDFにまとめましょう: Chrome DevToolsのデバイスツールバーでiPhoneサイズに切り替えてキャプチャし、PC版と合わせて複数ページのPDFにすることで、レスポンシブデザインの確認も一度にできます。
2.4 注釈機能の活用
キャプチャ後の編集画面では以下の注釈ツールが使えます。
| ツール | 活用場面 |
|---|---|
| 矢印・線 | 修正してほしい箇所を指し示す |
| テキスト | 説明・コメントを追加する |
| 矩形 | 注目してほしい範囲を囲む |
| ぼかし | 仮の画像・ダミーテキストを隠す |
| ペン | フリーハンドで書き込む |
⚠️ クライアントへの共有前に個人情報が含まれていないか確認しましょう: テスト用のメールアドレス・電話番号・仮の住所などが入っている場合はぼかしツールで隠してから送りましょう。
2.5 開発作業でのその他の活用場面
| 場面 | 使い方 |
|---|---|
| バグ報告 | 問題が起きている画面をキャプチャして説明を追加する |
| デザイン参考の収集 | 気になるサイトのデザインを全体キャプチャして保存する |
| Before/After比較 | 修正前と修正後をキャプチャして並べて確認する |
| ポートフォリオの制作実績画像 | 自分が作ったサイトの全体像を高品質に保存する |
3. Sider:すべてのAIとチャット
3.1 Siderとは
**「Sider: すべてのAIとチャット: GPT-5, Claude, DeepSeek, Gemini, Grok」**はGPT・Claude・Geminiなど複数のAIモデルをブラウザのサイドパネルから手軽に使えるChrome拡張機能です。Webページを見ながら同じ画面でAIに質問できるため、コーディング中にタブを切り替える手間がなくなります。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 複数AIとの同時チャット | GPT・Claude・Geminiなど複数モデルを切り替えて使える |
| サイドパネル表示 | 閲覧中のページを見ながらAIに質問できる |
| ページ要約 | 開いているページの内容をAIが要約する |
| 選択テキストに対してAI | 気になる文章を選択して右クリックからAIに質問 |
| 翻訳・説明 | 英語のエラーメッセージ・ドキュメントをAIが解説 |
3.2 インストールと基本操作
- Chrome ウェブストアで「Sider」を検索します。
- 「Chromeに追加」をクリックしてインストールします。
- ブラウザの右上にアイコンが追加されます。
- アイコンをクリックするとブラウザの右側にサイドパネルが開きます。
- 使いたいAIモデルを選択してチャットを開始します。
3.3 Web制作でのAI活用場面
① エラーメッセージを素早く解決する
コンソールに出たエラーメッセージをそのままSiderに貼り付けて質問します。
【質問例】
「以下のエラーメッセージの原因と解決方法を教えてください。
Uncaught TypeError: Cannot read properties of null
(reading 'addEventListener') at main.js:24」
【AIの回答例(要約)】
このエラーはJavaScriptが実行される時点でまだHTMLの要素が
読み込まれていないことが原因です。
DOMContentLoadedイベントの中でコードを書くか、
scriptタグにdeferを付けることで解決できます。
② CSSのプロパティや書き方を確認する
うろ覚えのCSSプロパティの正しい書き方をすぐ確認できます。
【質問例】
「clip-pathのpolygon()で下辺を波形に近い形にしたいです。
コードの書き方を教えてください。」
③ 英語の公式ドキュメントを日本語で理解する
MDN Web DocsやGitHubのREADMEを開きながら、難しい箇所をSiderに要約してもらいます。
1. 英語のドキュメントページを開く
2. 理解できない段落を選択する
3. 右クリック → 「Siderで説明する」をクリック
4. 日本語で説明してもらう
④ コードのレビューと改善提案をもらう
書いたコードを貼り付けてフィードバックをもらいます。
【質問例】
「以下のJavaScriptコードをレビューして、
改善できる点があれば教えてください。
document.querySelectorAll('.fade-in-view').forEach(el => {
observer.observe(el);
});」
⑤ 記事のアイデアや構成案を相談する
ブログ記事を書く際にネタや構成を相談できます。
【質問例】
「WordPress初心者向けのブログ記事を書きたいです。
タイトルのアイデアを5つ提案してください。
テーマ:プラグインの選び方」
3.4 AIとの上手な付き合い方
AIはとても便利ですが、活用する上でいくつかのポイントを押さえておきましょう。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 質問は具体的に | 「CSSを教えてください」より「clip-pathで斜めを作る方法を教えてください」の方が精度が上がる |
| コードは必ず自分で理解する | 提示されたコードをそのままコピーするだけでなく、何をしているか確認する習慣をつける |
| 出力を鵜呑みにしない | AIは誤った情報を自信を持って回答することがある。公式ドキュメントで確認する |
| 著作権・個人情報に注意 | クライアントのデザインデータや個人情報をAIに貼り付けない |
| 繰り返し使って慣れる | 最初は使い方がわからなくても、使い続けることで質問の仕方が上手くなる |
💡 AIは「検索エンジンの進化版」として使うのがちょうど良い距離感です: 「AIが言ったから正しい」ではなく「AIに教えてもらったことを自分で確認する」スタンスが長期的に力をつける上で大切です。第二十弾で触れた「コードをそのままいただいたこともあったが、なぜ動くのかを理解しようとした」という姿勢と同じです。
4. 2つの拡張機能を組み合わせたワークフロー例
4.1 クライアント案件での活用フロー
【ワークフロー例:クライアントへのデザイン確認】
1. ローカル環境でサイトを完成させる
↓
2. SiderでAIにコードレビューを依頼する
「このHTMLとCSSに問題がないか確認してください」
↓
3. AIの指摘を参考に修正する(最終判断は自分で)
↓
4. スクリーンショット拡張機能でページ全体をPDF化する
↓
5. PC版とスマートフォン版の両方をキャプチャする
↓
6. 必要に応じて注釈(矢印・コメント)を追加する
↓
7. PDFをクライアントにメールで送り確認を依頼する
↓
8. 修正依頼を受けたら再度Siderで実装方法を相談する
4.2 個人ブログ運営での活用フロー
【ワークフロー例:ブログ記事の制作】
1. Siderで記事のタイトルと構成案を相談する
↓
2. 記事を執筆する(主体は自分)
↓
3. Siderに「誤字脱字・わかりにくい表現はないか」確認する
↓
4. OGP画像のキャッチコピーをSiderで提案してもらう
↓
5. 記事公開後のページをスクリーンショットで全体キャプチャする
↓
6. キャプチャ画像をSNS投稿やポートフォリオに活用する
5. その他おすすめのChrome拡張機能
今回紹介した2つ以外にも、Web制作で役立つ拡張機能を紹介します。
| 拡張機能名 | 用途 | 活用場面 |
|---|---|---|
| ColorZilla | カラーピッカー | 任意の色のカラーコードを取得する |
| WhatFont | フォント識別 | サイトで使われているフォントを調べる |
| Wappalyzer | 技術スタック確認 | サイトがWordPressか・使っているプラグインなどを調べる |
| axe DevTools | アクセシビリティ検査 | アクセシビリティの問題を自動検出する(第◯弾参照) |
| CSS Peeper | CSSインスペクター | 要素のCSSをわかりやすく表示する |
6. 活用チェックリスト
✓ 「素晴らしい画面の並べ替えとスクリーンショット」をインストールしたか
✓ ページ全体のキャプチャとPDF出力の操作を試したか
✓ PC版とスマートフォン版の両方をキャプチャしてPDFにまとめたか
✓ 注釈(矢印・テキスト)の追加方法を確認したか
✓ 「Sider」をインストールしてサイドパネルの表示を確認したか
✓ エラーメッセージをSiderに貼り付けて解決を試みたか
✓ 英語ドキュメントの選択テキストをSiderで日本語説明させてみたか
✓ AIの回答を鵜呑みにせず公式ドキュメントで確認する習慣を意識しているか
まとめ
今回はChrome拡張機能を活用したWeb制作の効率化方法として「素晴らしい画面の並べ替えとスクリーンショット」と「Sider」を解説しました。ポイントをまとめると:
- 「素晴らしい画面の並べ替えとスクリーンショット」はスクロールしても見えない部分も含めてページ全体を1枚のPDF・画像として保存できる
- PC版とスマートフォン版の両方をキャプチャしてPDFにまとめることでクライアントへの確認資料が完成する
- キャプチャ後の編集画面で矢印・テキスト・ぼかしなどの注釈を追加できる
- 「Sider」はGPT・Claude・Geminiなど複数のAIをブラウザのサイドパネルから使えるChrome拡張機能
- エラー解決・コードレビュー・英語ドキュメントの理解・記事構成の相談など幅広い場面でAIを活用できる
- AIの回答は必ず自分で確認する習慣をつけることが長期的な成長につながる
- 2つの拡張機能を組み合わせるとクライアント案件・ブログ運営の両方で作業効率が大幅に上がる
次の記事では、レスポンシブ対応のコツをご紹介したいと思います。HTML、CSS両方の観点から使い勝手の良い方法をお伝えできたらと思います。お楽しみに!
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