はじめに
前回の記事ではフリーランスWeb制作の収入を安定させる長期戦略として月収を安定させる仕組み・収入の波を小さくする方法・副業から本業へのステップアップを解説しました。今回はWeb制作の単価表・見積もり書の作り方を解説します。「いくら請求すればいいかわからない」「見積もりを出したら高すぎると言われた」「どんな項目を書けばいいかわからない」という悩みは副業Web制作を始めたばかりの方が必ずぶつかる壁です。相場に合った単価の決め方・見積もり書の書き方・クライアントへの伝え方まで丁寧に解説します。
1. Web制作の相場を理解する
1.1 制作規模別の相場
Web制作の相場(2024年現在・副業・フリーランス向け):
【ランディングページ(LP)】
シンプルなLP(1ページ):5〜15万円
機能が多いLP(フォーム・アニメーション付き):15〜30万円
【コーポレートサイト(会社・店舗)】
小規模(3〜5ページ):10〜30万円
中規模(5〜10ページ):20〜50万円
大規模(10ページ以上):50万円〜
【WordPressサイト】
既存テーマカスタマイズ:5〜20万円
オリジナルテーマ制作:20〜60万円
【ECサイト】
Shopifyカスタマイズ:15〜40万円
WooCommerceサイト:30〜80万円
フルスクラッチ:100万円〜
【ポートフォリオ・個人サイト】
シンプルな構成:5〜15万円
注意:
→ 相場は「最低いくらか」の目安
→ 自分のスキル・実績・提案内容によって
相場より高くも低くもなる
→ 「相場より安くする」のではなく
「相場以上の価値を提供する」を目指す
1.2 単価の決め方
単価を決める3つの方法:
方法①:時給換算で決める
→ 希望時給 × 作業時間 = 最低価格
例:
希望時給:3,000円
作業時間:40時間(5ページのサイト)
最低価格:3,000円 × 40時間 = 12万円
→ これに「価値」「リスク」「修正対応」を
上乗せして最終価格を決める
方法②:相場から決める
→ 業界相場を調べて自分の実績・スキルに合わせる
→ 実績が少ない段階:相場の70〜80%
→ 実績が十分にある:相場と同等か上
方法③:価値から決める
→ 「このサイトでクライアントがどれくらい
売上を上げられるか」から逆算する
→ 月100万円の売上増が見込めるなら
50万円の制作費は安い投資になる
→ 最初は方法①②を組み合わせて決め
実績が積まれたら方法③に移行する
2. 単価表を作る
2.1 単価表のひな形
【Web制作 単価表】
○○(あなたの名前)
最終更新:2024年3月
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■ 制作料金
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【ランディングページ(LP)】
・シンプルLP(コーディングのみ):5万円〜
・デザイン+コーディング:15万円〜
・フォーム・アニメーション付き:20万円〜
【コーポレートサイト】
・5ページ構成(既存テーマ使用):15万円〜
・5ページ構成(オリジナルデザイン):25万円〜
・WordPressオリジナルテーマ制作:30万円〜
【ページ単価(追加ページ)】
・シンプルなページ:1万円〜/ページ
・ブログ・お知らせ一覧:3万円〜
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■ 機能追加料金
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・お問い合わせフォーム:3万円〜
・ブログ機能(WordPress):5万円〜
・ギャラリー・スライダー:2万円〜
・Google マップ埋め込み:1万円〜
・Instagram フィード連携:2万円〜
・多言語対応:5万円〜
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■ 月額サービス
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・保守管理(更新・バックアップ):1万円〜/月
・コンテンツ更新代行(月4回):3万円〜/月
・SEOコンサルティング:5万円〜/月
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■ その他
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・ドメイン取得代行:5,000円〜
・サーバー設定:1万円〜
・SSL設定:5,000円〜
・既存サイトの修正・改善:5,000円〜/時間
※ 上記はすべて税別の目安価格です
※ 要件によって変動します
※ お見積もりは無料で対応します
2.2 単価表を使うタイミング
単価表の活用場面:
① ポートフォリオサイトに掲載する
→ 問い合わせ前に料金の目安がわかると
「予算が合わない人」からの問い合わせが減る
→ 「予算が合う人」だけが問い合わせてくる
② 初回ヒアリング前に送る
→ 「ご参考に料金の目安をお送りします」
→ 事前に予算感を確認できる
→ ヒアリング後の認識のズレが減る
③ 見積もり書と一緒に渡す
→ 単価表があると
見積もりの根拠がわかりやすくなる
→ 「なぜこの金額か」を説明しやすい
単価表を渡すときの注意:
→ 「この金額が絶対」ではなく
「あくまで目安」として伝える
→ ヒアリング後に正式な見積もりを出す
→ 要件によって変わることを明記する
3. 見積もり書の作り方
3.1 見積もり書の基本構成
見積もり書に必ず含める項目:
① ヘッダー情報
→ 「御見積書」「ESTIMATE」などのタイトル
→ 発行日・有効期限(例:発行後30日間)
→ 見積もり番号(管理のため)
→ 宛先(クライアントの会社名・担当者名)
→ 差出人(あなたの名前・連絡先)
② 件名
→ 何の見積もりかわかる件名
例:「○○様Webサイト制作 御見積書」
③ 費用明細
→ 作業項目・数量・単価・金額
→ 小計・消費税・合計
④ 備考・条件
→ 含まれること・含まれないこと
→ 支払い条件(前払い・後払い・分割など)
→ 制作期間の目安
→ 修正対応の範囲
⑤ 署名・捺印欄(任意)
3.2 見積もり書のひな形
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御 見 積 書
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発行日:2024年3月15日
有効期限:2024年4月15日(30日間)
見積番号:EST-2024-001
【宛先】
株式会社○○○○
△△△ 様
【差出人】
Web制作 ○○(あなたの名前)
メール:your@email.com
電話:090-xxxx-xxxx
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件名:Webサイト制作 御見積書
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【費用明細】
No. 項目 数量 単価 金額
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01 デザイン制作(PC/SP) 1式 80,000円 80,000円
・トップページ
・下層ページ共通デザイン
02 コーディング 1式 60,000円 60,000円
・HTML/CSS/JavaScript
・レスポンシブ対応
・クロスブラウザ対応
03 WordPress実装 1式 40,000円 40,000円
・テーマカスタマイズ
・管理画面設定
・操作マニュアル作成
04 ページ制作 5p 10,000円 50,000円
・トップ/会社概要/
サービス/お知らせ/
お問い合わせ
05 お問い合わせフォーム 1式 30,000円 30,000円
・バリデーション付き
・自動返信メール設定
06 Google Analytics設定 1式 10,000円 10,000円
07 サーバー・ドメイン設定 1式 10,000円 10,000円
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小計 280,000円
消費税(10%) 28,000円
合計 308,000円
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【備考】
■ 本見積もりに含まれること
・上記明細に記載の作業一式
・公開後1ヶ月間の不具合対応
・操作マニュアルの作成・提供
・Google Analyticsの基本設定
■ 本見積もりに含まれないこと
・ドメイン・サーバーの費用(実費別途)
・素材(写真・イラスト・フォント)の費用
・コピーライティング(文章作成)
・公開後の追加修正・機能追加
■ 修正対応について
・ワイヤーフレーム確認後:各3回まで
・デザイン確認後:各3回まで
・コーディング後:各2回まで
・上記を超える修正:5,000円/回
■ 制作期間の目安
・契約締結・着手金入金後:約6〜8週間
■ お支払い条件
・着手金:見積もり金額の50%(契約時)
・残金:納品・検収完了後
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上記の通りお見積もり申し上げます。
ご不明な点はお気軽にご相談ください。
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4. 見積もりを作るときの注意点
4.1 「含まれないこと」を明記する
見積もりでよくあるトラブルの原因:
「どこまでやってくれるのかわからなかった」
防ぐための書き方:
❌ NG:
「Webサイト制作一式:20万円」
→ 「一式」だけだと
クライアントは「何でもやってくれる」
と思いがち
✅ OK:
「Webサイト制作:20万円
・含まれること:○○・○○・○○
・含まれないこと:○○・○○・○○
・修正回数:各工程3回まで」
→ 明確にすることで
追加請求のトラブルを防げる
特に明記しておくべき「含まれないこと」:
→ コピーライティング(文章作成)
→ 写真・イラスト・アイコン素材
→ ドメイン・サーバーの費用
→ 修正回数を超えた対応
→ 公開後の機能追加・ページ追加
→ SEO対策(含む場合は範囲を明記)
→ SNS連携・外部サービスとの連携
4.2 修正回数を決める
修正回数を決めておかないと:
→ 「ちょっとここも変えてほしい」が無限に続く
→ 1件で何十時間も消耗する
→ 次の案件に進めなくなる
修正回数の設定例:
ワイヤーフレーム(設計)段階:2〜3回
デザイン段階:2〜3回
コーディング後:1〜2回
「回数」の定義を明確にする:
→ 1回 = 1メール(複数の修正をまとめて送ってもらう)
→ 「ここを変えて」「次にここも変えて」は2回
修正回数を超えた場合:
→ 「1修正につき5,000円〜」などを明記
→ 見積もり時に口頭でも説明する
クライアントへの伝え方:
「修正は各工程3回まで含まれています。
確認の際はまとめてご連絡いただけると
スムーズに進められます。
追加修正は別途お見積もりいたします。」
4.3 着手金をもらう
着手金(前払い)をもらう理由:
① 制作途中でのキャンセルリスクを防ぐ
→ 半分以上作ったのに
「やっぱりやめます」と言われると
その分の工数がすべて無駄になる
② クライアントの本気度を確認できる
→ 着手金を払う = 真剣に依頼している
→ 払わない人は途中で音信不通になりやすい
③ 材料費・外注費の先払いに使える
→ 素材・フォント・外注費用が必要な場合
自腹を切らなくていい
着手金の設定例:
→ 見積もり金額の30〜50%
→ 10万円の案件なら3〜5万円
伝え方:
「弊方では制作開始前に
見積もり金額の50%を着手金として
お振込みいただいております。
残金は納品・検収完了後にお願いしております。」
→ 最初から「当然のこと」として伝えれば
断られることはほとんどない
5. クライアントへの見積もりの伝え方
5.1 見積もりを出すタイミング
見積もりを出すまでの流れ:
① ヒアリング(要件定義)
→ 何を作りたいか・予算・納期・目的を確認
→ この段階では金額を出さない
② ヒアリング後1〜3日以内に見積もりを送る
→ 早く出すほど「仕事が早い人」の印象になる
→ 1週間以上かけると「やる気がない」と思われる
③ 見積もりを送るときの一言を添える
→ 金額だけ送らずに
「なぜこの金額か」を一言添える
見積もりメールの例:
「先日はお時間をいただきありがとうございました。
ヒアリング内容をもとに
お見積もりを作成しましたのでご確認ください。
今回は○○様のサイトの課題である
スマートフォン対応と問い合わせ導線の改善を
最優先に設計しております。
ご不明な点があればお気軽にご相談ください。」
5.2 価格交渉への対処法
「もう少し安くなりませんか?」と言われたとき:
❌ NG:
→ 値下げしてしまう
→ 理由なく「では15万円にします」と言う
→ 一度値下げすると
「言えば下がる」と思われる
次の案件でも値下げ交渉される
✅ OK①:内容を減らして価格を合わせる
「ご予算に合わせてページ数を
5ページから3ページに絞り
15万円でのご提案も可能です。
残りのページは後から追加することもできます」
✅ OK②:価値を再度説明する
「今回の制作では問い合わせ導線の改善に
特に力を入れており
月に数件の問い合わせ増加が期待できます。
1件の契約で回収できる金額と比べると
費用対効果は高いと考えています」
✅ OK③:分割払いを提案する
「一括でのご負担が大きい場合
2〜3回の分割払いも対応しております」
→ 値下げは「最後の手段」
まず別の解決策を提案する
5.3 見積もり書の送り方
見積もり書の形式:
① PDFで送る(推奨)
→ WordやExcelで作成してPDF書き出し
→ レイアウトが崩れない
→ 編集できない形式で送ることが大切
② Googleスプレッドシートで共有する
→ リンクを共有するだけで手軽
→ リアルタイムで更新できる
→ ただし相手が編集できないよう
「閲覧のみ」で共有する
③ 見積もりツールを使う
→ Misoca(みそか):無料プランあり
→ freee:会計ソフトと連携できる
→ MakeLeaps:英語対応
見積もり書に使えるツール:
→ Excel・Googleスプレッドシート:自作しやすい
→ Canva:見た目をきれいに作れる
→ Notion:シンプルに作れる
→ 専用の見積もりソフト:管理しやすい
見積もり書のファイル名:
→ 「御見積書_○○株式会社様_20240315.pdf」
→ 日付・クライアント名を含めると管理しやすい
6. 実践チェックリスト
✓ 自分の希望時給から最低価格を計算して単価の下限を決めているか
✓ 単価表を作ってポートフォリオサイトや初回ヒアリング前に活用しているか
✓ 見積もり書に「含まれること」と「含まれないこと」を明記しているか
✓ 修正回数を工程ごとに設定して見積もり書に記載しているか
✓ 着手金(見積もり金額の30〜50%)を契約時にもらう仕組みにしているか
✓ 見積もりはヒアリング後1〜3日以内に送っているか
✓ 価格交渉をされたとき「値下げ」ではなく「内容を減らす」提案ができるか
✓ 見積もり書はPDFで送って有効期限を設定しているか
まとめ
今回はWeb制作の単価表・見積もり書の作り方として相場に合った単価の決め方・項目の書き方・クライアントに納得してもらえる見積もりの伝え方を解説しました。ポイントをまとめると:
- Web制作の単価は「時給換算・相場・価値」の3つの方法で決める・最初は時給換算と相場を組み合わせて実績が積まれたら価値から決める方法に移行する
- 単価表を作ってポートフォリオサイトに掲載することで「予算が合う人だけ」が問い合わせてくる・結果として無駄な商談が減り成約率が上がる
- 見積もり書には「含まれること」「含まれないこと」「修正回数」を必ず明記する・「一式」だけの見積もりはトラブルのもとになる
- 修正回数は工程ごとに2〜3回と決めて「1回=1メールで複数の修正をまとめて送ってもらう」というルールを事前に伝える
- 着手金(見積もり金額の30〜50%)は制作開始前にもらうのが原則・途中キャンセルのリスクを防ぎクライアントの本気度も確認できる
- 価格交渉をされたときは「値下げ」ではなく「ページ数を減らす」「価値を再説明する」「分割払いを提案する」の3つで対応する
- 見積もり書はPDFで送って有効期限(30日間など)を設定する・ヒアリング後1〜3日以内に送ることで「仕事が早い人」の印象を与えられる
次の記事では、Web制作者のためのHTMLフォームの使い方を解説します。input・select・textarea・チェックボックス・ラジオボタンなど各フォーム部品の使い方とアクセシビリティ対応まで丁寧にお届けします。お楽しみに!
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