はじめに
前回の記事ではフリーランスWeb制作の収入を安定させる長期戦略と専門性を高めて高単価案件を狙うアプローチを解説しました。今回は実際の案件でよく発生する場面として「サーバーとドメインはクライアント自身に契約してもらいたい」というケースに焦点を当てます。「どのサーバーがいいですか?」と聞かれたときに的確に答えられるよう、提案の流れ・おすすめのサービス・説明のコツまで実践的に解説します。
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1. なぜクライアントに自分で契約してもらうのか
1.1 制作者が契約するリスク
制作者がサーバー・ドメインを代理契約した場合の問題:
❌ 支払いが滞るとサイトが止まるリスク
→ クライアントが更新料を払わなかった場合
サービスが止まる→サイトが消える
しかし名義は制作者→制作者が困る
❌ 長期間にわたる管理責任が発生する
→ 「サーバーを移したい」「ドメインを変えたい」
すべての手続きに制作者が関わる必要がある
❌ クライアントとの関係が終わった後も
名義だけ残り続ける
→ 引き継ぎのたびに手間と費用が発生する
❌ 不正利用・セキュリティリスクを
制作者側が背負う
クライアントが自分で契約するメリット:
✅ 支払い・更新の責任がクライアントにある
✅ 名義がクライアント自身なので後々の手続きが楽
✅ 制作者との関係が終わっても継続して使える
✅ 信頼関係が築けていない最初の案件でも安心
💡 「クライアントに自分で契約してもらう」のは制作者を守るためだけでなくクライアントを守るためでもあります: 自分の資産(Webサイト)を自分の名義で管理できるのはクライアントにとっても長期的に有利です。そのことを丁寧に説明しましょう。
2. 提案のタイミングと流れ
2.1 いつ提案するか
サーバー・ドメインの提案タイミング:
① ヒアリング時(最初の打ち合わせ)
→ 「現在サーバーとドメインはお持ちですか?」
→ 「ない場合はこちらでおすすめを
ご紹介しますので、ご自身で契約をお願いします」
② 見積もり提示時
→ 見積書にサーバー・ドメインが
「別途クライアント様にてご契約いただくもの」と
明記しておく
③ 制作開始前(契約締結後)
→ 「制作を始める前にサーバーとドメインを
ご準備いただく必要があります」
→ マニュアル・手順書を用意して渡す
2.2 提案の基本的な流れ
提案から契約完了までの流れ:
STEP 1:必要性の説明
「サイトを公開するにはサーバーとドメインが必要です。
これはいわばサイトの"土地と住所"のようなものです。」
STEP 2:おすすめサービスの提案
「コスト・安定性・サポートの観点から
〇〇をおすすめしています。」
STEP 3:手順書を渡す
「登録手順をまとめた資料をお渡しします。
もし迷われたらいつでもご連絡ください。」
STEP 4:確認・接続作業
「登録が完了したら、アカウント情報をお知らせください。
こちらでWordPressのインストールと設定を行います。」
STEP 5:制作開始
→ サーバー・ドメインの準備ができてから制作をスタート
3. ドメインの提案
3.1 ドメインとは何かを説明する
クライアントへのわかりやすい説明:
「ドメインとはWebサイトの"住所"にあたるものです。
例:
https://example.com
この「example.com」の部分がドメインです。
一度取得すると基本的に年間で更新する必要があり
年間1,000〜3,000円程度が相場です。」
3.2 おすすめのドメイン取得サービス
おすすめのドメイン取得サービス:
① お名前.com(onamae.com)
→ 国内最大手・ドメイン数が豊富
→ 初年度が安くなるキャンペーンが多い
→ 更新時の価格が高くなることがある(注意点)
→ 管理画面がやや複雑
② ムームードメイン(muumuu-domain.com)
→ GMOグループで安定している
→ ConoHa WINGとの連携がスムーズ
→ 管理画面がわかりやすい
③ Xserverドメイン(xserver.ne.jp/domain)
→ エックスサーバーを使う場合はここで統一すると管理が楽
→ サーバーとまとめてドメインを取れる
→ サーバーと同じ会社でドメインも取ると
管理が一箇所に集まって楽になる
ことをクライアントに伝える
3.3 ドメイン名の選び方をアドバイスする
ドメイン名の選び方のポイント:
✅ 覚えやすい・短い
→ example-bakery.com
→ tokyoyoga.jp
✅ 会社名・屋号・サービス名に合わせる
→ 「山田花屋」なら yamadahanaya.com
✅ 拡張子(TLD)の選び方:
→ .com → 最もメジャー・どんなサイトにも使える
→ .jp → 日本の企業・信頼感が出る・やや高め
→ .co.jp → 法人のみ取得可能・信頼性が高い
→ .net → .comの次によく使われる
❌ 避けたほうがよいもの:
→ 他社の商標・ブランド名を含むドメイン
→ ハイフンが多すぎて読みにくいもの
→ 数字と文字が混在して紛らわしいもの
4. サーバーの提案
4.1 サーバーとは何かを説明する
クライアントへのわかりやすい説明:
「サーバーとはWebサイトのデータを保管する
"倉庫"のようなものです。
24時間365日、世界中からアクセスを受け付けるために
常に稼働しているコンピューターのことです。
レンタルサーバーを使えば
自分でサーバーを用意しなくても
月額1,000〜1,500円程度で
プロが管理するサーバーを借りられます。」
4.2 おすすめのレンタルサーバー
おすすめのレンタルサーバー:
① エックスサーバー(xserver.ne.jp)
→ 国内シェアNo.1クラス・安定性が高い
→ WordPressの自動インストールが簡単
→ 月額990円〜(スタンダードプラン)
→ サポートが丁寧・電話対応もある
→ おすすめできる相手:
コーポレートサイト・ブログ・ポートフォリオ
② ConoHa WING(conoha.ne.jp/wing)
→ 国内最速クラスのサーバー速度
→ WINGパック(サーバー+ドメインがセット)がお得
→ 月額941円〜(ベーシックプラン)
→ 管理画面がスタイリッシュで使いやすい
→ おすすめできる相手:
コスパ重視・ドメインと一緒に管理したい方
③ さくらインターネット(sakura.ne.jp)
→ 老舗で信頼性が高い・日本企業
→ スタンダードプランは月額524円〜
→ コストを抑えたい方に向いている
→ おすすめできる相手:
予算を抑えたい個人事業主・シンプルなサイト
④ SiteGround(siteground.com)
→ 海外製だが日本語対応あり
→ WordPressとの相性が非常によい
→ セキュリティが強力
→ おすすめできる相手:
海外向けサイト・SEOに力を入れたいケース
4.3 サーバー選びの判断軸を伝える
クライアントへの選び方の説明:
「サーバー選びで特に重要なポイントは
次の3つです:
① 安定性(表示速度・稼働率)
→ アクセスが増えても遅くならないか
→ 99.9%以上の稼働率が目安
② サポート体制
→ 問題が起きたときに日本語で
サポートしてもらえるか
→ 電話・チャット・メールのどれが使えるか
③ コストと機能のバランス
→ 最初は安いプランから始めて
アクセスが増えたらプランを上げる
→ WordPressで制作する場合は
【エックスサーバー】か【ConoHa WING】を
おすすめしています。
どちらも国内トップクラスの実績があります。」
5. 実際の提案文・手順書の作り方
5.1 メールやチャットでの提案文例
提案文の例(メール・チャット向け):
件名:サーバー・ドメインのご準備についてご案内
〇〇様
お世話になっております。〇〇(制作者名)です。
今回のサイト制作に向けて、事前にご準備いただく
必要があるものをご案内いたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ ご用意いただくもの
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【ドメイン(年間1,000〜3,000円程度)】
サイトの"住所"になる文字列です。
例:example.com
おすすめ:ConoHa WINGまたはお名前.com
【サーバー(月額1,000〜1,500円程度)】
サイトのデータを保管する"倉庫"です。
おすすめ:ConoHa WING(ドメインとセットでお得)
または:エックスサーバー(安定性重視の場合)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
詳しい登録手順を別添でお送りします。
もし操作でわからないことがあれば
オンラインでご一緒に確認することも可能です。
ご不明な点はお気軽にご相談ください。
よろしくお願いいたします。
5.2 手順書(マニュアル)を用意する
クライアントにとってサーバーやドメインの登録は未知の作業です。手順書を用意することで問い合わせが減りスムーズに進みます。
手順書に含める内容:
① スクリーンショット付きの登録手順
→ ConoHa WINGの場合:
1. conoha.ne.jpにアクセスする
2. 「今すぐお申し込み」をクリックする
3. メールアドレス・パスワードを入力する
4. プランを選ぶ(WINGパック・ベーシック)
5. ドメインを決める
6. 支払い方法を入力する
7. 申し込み完了
② 完了後に制作者に送ってほしい情報
→ サーバーのコントロールパネルURL
→ ログインID・パスワード
→ 取得したドメイン名
③ 注意事項
→ ID・パスワードは安全な方法で
共有してください(メール本文は避ける)
→ ドメインの移管には時間がかかる場合があります
→ PDFで渡す・Notionで共有するなど
わかりやすい形式で提供する
💡 手順書は一度作れば使い回せます: 複数の案件で同じサーバーをおすすめする場合は、最初に丁寧な手順書を作っておくと次の案件から楽になります。スクリーンショットに吹き出しでコメントを付けると親切です。
6. よくある質問とその回答
6.1 「どのサーバーが一番いいですか?」
回答例:
「目的とご予算によって変わりますが、
WordPressでビジネスサイトを作る場合は
エックスサーバーかConoHa WINGを
おすすめしています。
どちらも国内トップクラスの利用者数があり、
日本語サポートも充実しています。
コストを少し抑えたいならConoHa WING、
安定性を最優先にするならエックスサーバーを
ご検討ください。
最初は月額1,000〜1,500円程度の
ベーシックなプランで十分です。
アクセスが増えてきたらプランを上げることができます。」
6.2 「制作者さんに契約してもらうことはできますか?」
回答例:
「代理での契約も対応可能ですが、
いくつかご確認いただきたい点があります。
代理契約の場合:
→ 名義が私になるため、将来的に
別の制作者に依頼されたり
自分で管理したくなった際に
移管の手続きが必要になります。
→ 更新費用のお支払いについても
毎年ご連絡をいただく必要があります。
長期的に見ると、ご自身の名義で持っていただく方が
管理が楽で安心です。
もし登録が難しいようであれば、
オンラインでご一緒に手続きを進める形も
対応できますので、お気軽にご相談ください。」
6.3 「無料サーバーじゃダメですか?」
回答例:
「無料サーバーにはいくつかデメリットがあります。
① 広告が表示される場合がある
→ ビジネスサイトとしての信頼性が下がる
② 容量・速度・機能が制限される
→ WordPressがうまく動かないことがある
③ サービス終了のリスクがある
→ 突然使えなくなってサイトが消えることがある
④ 独自ドメインが使えないことが多い
→ 「example.無料サービス名.com」のような
URLになってしまう
→ 月額1,000〜1,500円のレンタルサーバーは
ビジネスを長く続けるための
必要な投資と考えていただければと思います。」
6.4 「サーバーとドメインを別の会社で契約してもいいですか?」
回答例:
「はい、問題ありません。
ただ、同じ会社でまとめると管理が
一箇所になって楽という利点があります。
例えばConoHa WINGでサーバーを契約すると
ドメインも同じ管理画面で取れますので
おすすめしています。
すでにお名前.comなど別のサービスで
ドメインをお持ちの場合は
そのまま使うことができます。
その際はDNSの設定が必要になりますが
こちらで設定いたします。」
7. SSL証明書の説明も忘れずに
7.1 SSLとはなにかを説明する
クライアントへのわかりやすい説明:
「SSLとはサイトの通信を暗号化する仕組みです。
これが設定されているサイトはURLが
『https://』で始まります(鍵マーク付き)。
設定されていないサイトは
ブラウザに『保護されていない通信』と
表示されてしまいます。
現在ほぼすべてのサーバーで
無料のSSL証明書が提供されています。
こちらは私の方で設定します。」
7.2 SSL設定のタイミング
SSL設定の流れ:
① クライアントがサーバーを契約する
② ドメインをサーバーに紐付ける(DNS設定)
→ 設定が反映されるまで最大24〜72時間かかる
③ WordPressをインストールする
④ SSL証明書を設定する
→ ほとんどのサーバーで
コントロールパネルからワンクリックで設定できる
⑤ httpsでアクセスできることを確認する
→ DNSの反映待ちがあるため
「契約してからすぐ制作できる」わけではないことを
あらかじめクライアントに伝えておく
8. スムーズに進めるためのポイント
8.1 準備期間を見積もりに含める
スケジュール設計の例:
Day 1:契約・見積もり合意
Day 2〜3:クライアントがサーバー・ドメインを契約
Day 3〜5:DNS設定・反映待ち(最大72時間)
Day 6〜:WordPress設置・制作開始
→ 「契約後すぐ制作開始」ではなく
「準備期間として1週間程度かかる」を
あらかじめ伝えておく
→ 急ぎの案件では
「先にサーバー・ドメインの準備だけ
お願いします」と早めに動いてもらう
8.2 ログイン情報の受け渡し方
安全な情報共有の方法:
❌ 避けるべき方法:
→ メール本文にID・パスワードをそのまま記載
(メールは盗み見られるリスクがある)
✅ おすすめの方法:
→ 1Password・Bitwarden などの
パスワード管理ツールで共有する
→ LINEのトークルームで送る
(メールより比較的安全)
→ オンラインミーティング中に画面共有しながら
一緒に設定する
→ 「IDはメールで・パスワードはLINEで」と
分けて送る方法も有効
まとめ
今回はクライアントにサーバーとドメインを選んでもらう際の提案の仕方を解説しました。ポイントをまとめると:
- サーバー・ドメインはクライアント自身の名義で契約してもらうことで双方にとってリスクが少なくなる
- 提案のタイミングはヒアリング時・見積もり提示時・制作開始前の3回が自然
- 「ドメイン=住所・サーバー=倉庫」というたとえ話を使うとクライアントに伝わりやすい
- WordPressサイトにはエックスサーバーまたはConoHa WINGがおすすめ
- スクリーンショット付きの手順書を用意するとクライアントからの問い合わせが減る
- DNS設定の反映に最大72時間かかることをあらかじめスケジュールに組み込む
- 「代理契約したいと言われたとき」「無料サーバーはダメかと言われたとき」の回答をあらかじめ準備しておく
- ログイン情報の共有はメール本文への記載を避けてパスワードマネージャーやLINEを活用する
次の記事では、クライアントから画像素材や文章素材を受け取るときの進め方と、素材がなかなか揃わない場合の対処法を解説します。お楽しみに!
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